ある朝、まどろみの中にいる私の耳に、「ソロモンの秘宝」という言葉がふと降りてきた。
突然だったのに、その響きには妙に重みがあって、胸の奥がふっとざわついた。
理由なんて分からない。
ただ、直感的に思った――今の私にとって、大切な言葉だと。
いくら考えても意味は掴めない。
けれどその言葉が心に灯った瞬間、日光東照宮の陽明門の姿が鮮やかに浮かんだ。
まるで「おいで」と呼ばれているような、不思議な誘い。
気づけば私は、自然とその場所へ向かっていた。
普段から日光の山々をよく歩いているが、東照宮を訪れるのは20年ぶりだった。
陽明門の前に立った瞬間、「ああ、やっぱり」と胸の奥で何かがぴたりと合った。
私はこの場所に「呼ばれた」のだと。
…そういえば以前、陽明門の模型を作っていた高齢の方が、認知症の進行で手を止めたという話を書いたことがある。
あの話は、なぜか今でも心に残っている。
不思議と抗えない流れに、またしても乗せられている気がした(笑)。
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