『こんにちは〜』と声をかけると『ハーイ』といい返事。
少し待つとガーガーガーガーと音がする。そして奥からワゴンを押した梅さんが顔を出す。
この音が聞こえてくると「あゝ今日も元気だな」とホッとするのだ。
梅さんは、ひとり暮らしの要介護1です😍
梅さんの自宅内での移動手段は、このキャスター付きワゴン。
ずっと前に生協で買ったんだそう。
最初にこれを押す梅さんを見た時『危ないからやめてー』とか『ちゃんとした歩行器を借りてよ』などと言った。
実際、梅さんが使うには軽すぎると思うのだ。
『ブレーキもないから心配なんだよ⁉️』
『大丈夫だよ、ツーっと動くから危ないって分かってるもん』
『寄りかかったりしないでよ』
『しないよ!分かってるって😁』
本人は、これがかなり便利なんだという。
毎朝、この上にご主人の仏壇へのお供え物を乗せて運んでいる。
洗濯物も干し場までこれに乗せて運ぶ。
だからハンガーが入っていたりするの(笑)。
便利なのはいいけれど、骨粗鬆症で転倒骨折を繰り返しているし、右足にはボルトが入っている。
すり足歩行で左右に体が揺れてびっこ引き引き歩くんだもんやっぱり心からの賛成はできないよー。
そんなある日、キャスターが取り替えられていることに気がついた。
大きくてある程度重さのあるキャスターになっていた。
『うわーナイスアイディア👍安定感が違うね』
『息子が取り替えてくれたんだよ』
梅さんには、良く気のまわる優しい子供が2人いる。燃えるゴミの日には、必ず出勤前に寄ってゴミを出してくれるのが長男。会社とは真逆の方向なのに、もう何年も通ってくれている。
ずっと前になるけれど・・・
『週2回も朝早くに来るのは大変でしょう?ゴミ捨てをヘルパーにお願いしたらどうですか?』と息子さんに言ったら
『お気遣いありがとう。母の様子観察を兼ねているので、できるうちは自分がやろうと思います』という言葉が返ってきた。
なんて理想的なことを言ってくれる息子さんなんだろーってちょっと感動したのを思い出す。
だってこんな家族には、なかなか出会えなくなってきたんだもん。
正直、ここ2、3年ですごく変わってきたように思う。
権利の主張だけは得意だけど自ら労力を使うことは嫌がる家族が増えた。
でも、梅さんのところは違う。
きっと梅さんが上手に育てられたからなんでしょうね・・・と思いながら顔をあげたら、ニタっと笑うご主人と目が合った。
もちろんお父さんもいいからよ。
これからも梅さんを見守ってあげてよね、な~む~🙏
※キャスター付きワゴンを歩行器代わりに使うことはおやめください。
|
これは、持ち手を握るとブレーキがかかるタイプ。
お盆付きで上に物が乗せられます。
要介護状態の人には、せめてこのクラスを使ってほしい。
介護保険で借りればひと月300円程ですよ❤️。
|